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いつものBARで。約10分

マスター(隆二)♂:店員。絢香の幼馴染

絢香♀:隆二の幼馴染

 

 

 




マスター:「いらっしゃいませ。一名様でよろしいですか?」

絢香:「はい」

マスター:「畏まりました。こちらのお席へどうぞ」

絢香:「えぇ、ありがと」

マスター:「上着の方お預かり致します」

絢香:「えぇ、ありがと」

マスター:「おしぼりになります、どうぞ」

絢香:「えぇ、ありがと」

マスター:「こちらメニューになります。お決まりになりましたら、申してください」

絢香:「えぇ、ありがと……マスター1ついいかしら?」

マスター:「はい、なんでしょうか?」

絢香:「いつまでこれ続けます?」

マスター:「これ、とは?何のことでしょうか?」

絢香:「まだやるのかしら?あざといわね」

マスター:「……クスッ、ハハハハ。ちょっと新鮮で楽しかっただろ?」

絢香:「楽しくないわよ!避けられてるのかと思ったじゃない!」

マスター:「そんな事は……無いよ?てか、絢香も何だよ。乗り気だったじゃねーかよ」

絢香:「乗り気じゃ無いわよ。付き合ってあげたの、お子ちゃまな隆二にね」

隆二:「付き合ってやったって、にしてもボキャブラリー無さ過ぎかよ。えぇ、ありがと。えぇ、ありがとって、どんだけだよ」

絢香:「いいじゃない!乗ってあげたんだから!雷こわ〜い!とか言うお子ちゃまの癖して生意気よ」

隆二:「おい、それは触れるなよ!てか雷怖いだろ」

絢香:「怖いけど、隆二みたいにあからさまには怖がらないわよ」

隆二:「るっせーなぁ。もうその話はいいだろ!何しに来たんだよ?揶揄いに来たのか?」

絢香:「ん?普通に客として来たのよ」

隆二:「そうなのか?なら何か頼めよ」

絢香:「ん〜じゃあ、マスターの面白い話を1つお願い」

隆二:「はぁ?そんなメニューなんてねーよ。頼む気ないなら帰るか?」

絢香:「なによ、仮にも客よ?それに冗談に決まってるじゃない。全く……冗談も通じないなんて、そんなんでマスターやってけるの?」

隆二:「んだよ、素直なんだよ。で、注文は?」

絢香:「じゃあ、マティーニで。素直ね…確かにね」

隆二:「マティーニね、畏まりました」



絢香:「やっぱり、作ってる所見ると様になってるわね」

隆二:「なんだよ、馬鹿にしてんのか?」

絢香:「カッコいい所もあるのよね……」

隆二:「ん?何か言ったか?」

絢香:「なにも」

隆二:「そっか……お待たせしました、マティーニです」

絢香:「ありがと」

隆二:「にしても、女でマティーニとか、かっこよ過ぎかよ。酒つえー女は嫌だな」

絢香:「いいじゃない、好きなんだから。隆二が弱過ぎるのよ。それに、酒に酔えなくても、男には酔えるのよ」

隆二:「はいはい、さらっと変な事言ってんなよ」



絢香:「ちょっと〜聞いてるの〜?」

隆二:「聞いてるよ。てか、絢香飲み過ぎだ。」

絢香:「たまにはいいじゃない!酒に逃げたい事だってあるのよ〜!どうせ、私の事なんて誰も心配しないわよ〜」

隆二:「おいおい、俺がたった今心配してるじゃん。いいから、少し休め」

絢香:「なによ〜私の楽しみ奪うつもりー?そんなに言うなら、隆二!あんたが私のお世話しなさいよ〜」

隆二:「わかった」

絢香:「わかった。ってなによ。簡単に言っちゃって……幼馴染のあんたも、どうせわたしを捨てるんでしょ!?」

隆二:「捨てねーよ」

絢香:「わかった〜隆二も酔ってるんでしょ〜?似合わない事ばっかり言っちゃって〜」

隆二:「飲んでねーよ、仕事中だわ。それに俺は真面目に言ってるぞ」

絢香:「ちょっと、どうしちゃったのよ。隆二らしくない。それに私は冗談で言って……」

隆二:「(遮るように)絢香が!絢香が冗談だとしても、俺は冗談で言ってない」

絢香:「……酔いが覚めちゃったじゃん。隆二どうしちゃったのよ……そ、それに隆二は彼女居るじゃない」

隆二:「酔い覚ましたのはごめん。でも俺、彼女いない」

絢香:「はぁ?じゃ、じゃあ、あの写真の子誰だったのよ!名前忘れたけど。あんたが彼女って言ってたじゃない!」

隆二:「あれは……」

絢香:「(遮るように)まさか浮気?最低じゃない。見損なったわ」

隆二:「ちがっ!話聞けよ!」

絢香:「何よ」

隆二:「この際全部言ってやるよ。黙って聴いてろよ」

絢香:「……」

隆二:「俺は、かなり前からお前が、絢香が好きだった」

絢香:「かなり前って、あんたもかなり前から、その彼女いたじゃない!」

隆二:「黙って聴けよ」

絢香:「う、うん」

隆二:「そして、その彼女の件だけど、あれは絢香にヤキモチ焼いて欲しかったのと、他の女が寄ってこないようにカモフラージュのつもりだった。これが全てだ」

絢香:「私にヤキモチって。男の癖して女々しいわよ……それにあんた、私の事昔に振ったじゃない」

隆二:「確かに、振った」

絢香:「そうよね?なのに何なのよ」

隆二:「あの時は、ただ、遊びたくて……」

絢香:「遊びたくて?最低ね。私も遊びなのかしら?」

隆二:「ちょ!?違うって!遊びたいってのは、男友達と馬鹿やってるのが楽しかったんだよ!それに、あの時の俺が女と居るの見たことあんのかよ」

絢香:「見たことないけど……わかんないじゃん!」

隆二:「彼女もいなかったよ……本当だからな?」

絢香:「そうなんだ……」

隆二:「そうだ、疑ってるなら、明美に聴いてみろよ。あいつには相談とかしてたから、ずっと絢香が好きだったってのも話してるし」

絢香:「わかったわよ、信じるわよ、それで?」

隆二:「……それで?え?」

絢香:「え?じゃないでしょ。世話するって話よ」

隆二:「あ、あぁ!好きって伝えるだけでいっぱいいっぱいで忘れてた」

絢香:「本当に情けないわね」

隆二:「ごめん……変な感じになっちゃったけど、本気で絢香が好きで、お世話したい!って訳じゃ無いんだけど……傍に居たい!1番近く!……ダメか?」

絢香:「……」

隆二:「おーい、聴いてんのか?」

絢香:「……(泣き)」

隆二:「え、何で泣いてんの!?お客さん来たら誤解されるだろ!泣くなよ!」

絢香:「嬉しくて……出ちゃうんだから仕方ないじゃない!あんたの所為なんだから、あんたがどうにかしなさいよ」

隆二:「俺の所為かよ。どうすりゃいいんだよ……絢香」

絢香:「何よ……んっ!?(キス中)」

隆二:「泣き止んだ?」

絢香:「……泣き止んだわよ、バカ」

隆二:「これしか思い浮かばなくてな……はぁ。すっげぇ緊張した〜」

絢香:「私帰る。お金置いとくね」

隆二:「絢香!仕事終わったら家に行っていい?」

絢香:「き、来なさいよ!ご飯作って待っててあげるから。じゃあね!」

隆二:「お、おう!」

fin







 

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